にぎわいある公園を目指して。台北市大安森林公園の例。

2019年10月31日

台湾の台北市に大安森林公園があります。26haと日比谷公園の約1.5倍の大きさで、都心にあります。もともとは蒋介石軍の宿舎があった場所で一万人を超える軍人が住んでいたところです。宿舎と言ってもマンションのような建物ではなく、無数の小屋がひしめき合っていたそうです。それが30年ほど前に造成され、1994年に現在の大安森林公園が開園しました。

私はこの公園の樹木や土壌の調査、樹木剪定などの維持管理指導に7年ほど前から関わっていますので度々訪れています。平日でも朝早くから多くの人々でにぎわっている市民に愛され活用されている公園です。

日曜日の大安森林公園の状況。
ひじょうにたくさんの人々でにぎわっています。

平日の大安森林公園の状況。
平日でも多くの人々が集ってきます。

管理は台北市公園街路管理局がおこなっています。しかし、行政だけでなく市民や公園周辺の企業などが参画し、公園の維持管理に関与しています。なかでも、大安森林公園之友基金会は企業などから出資を募り、毎年多額の予算を投入し公園整備のために役立てています。これまでに、公園内樹木の剪定や樹勢回復、蛍が飛び交うビオトープの設置、桜の名所づくりなどを推進されてきました。

ビオトープの設置
人力でペダルを漕ぐと噴水が稼動し水が循環する仕組み

きれいに整備されている大安森林公園
日本人による樹勢回復処置や剪定管理がなされている公園内樹木

行政だけに頼らずに、市民や企業の取り組みが、この公園の価値を高め、より一層活用されるようになっています。
日本でもパークPFIなどの制度の導入により、公園が多様化し、より活用される公園のあり方をめざしていますが、大安森林公園がその参考になるのではと思っています。

笠松 繁久 (一般社団法人街路樹診断協会 副会長)

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