公園いろいろ 今城塚古墳公園(大阪府高槻市)

2021年3月23日

高槻市は、今城塚という古墳の区域を公園として開放しています。(写真1)その面積は約9ヘクタール。
今城塚古墳は淀川流域では最大級の前方後円墳です。西向きの墳丘の周囲には二重の濠がめぐらされ、長さ約350メートル・幅約360メートル、日本最大の家形埴輪や精緻な武人埴輪が発見されています。
今城塚古墳は、531年に没した第26代継体天皇の真の陵墓と考えられ、古墳時代の大王陵としては唯一、淀川流域に築かれた古墳です。しかし、宮内庁の所管ではないため、整備・公開に向けて平成9年から確認調査を行われており、古墳の規模をはじめ、のちの城砦や地震による変形の様子など、貴重な成果が得られています。
なかでも平成13・14年度の調査 で北側内堤から見つかった埴輪祭祀 (はにわさいし) 区は、大王陵での埴輪祭祀の実態を示すものとして大きな注目を集めています。ここでは、完成時の状態に復元された家、人物、動物など200点以上の形象埴輪が整然と並んでいます。大王のハニワ祭が再現されているのは日本でここだけだという事です。(写真2)
 併設された「市立今城塚古代歴史館」では今城塚古墳の概要や歴史を学ぶことができ、歴史教材としての役割は大きいものです。

この公園の魅力の第1は風土の歴史を実感させることですが、その点を除いても数晴らしい点が数多くあります。
先ず、都市の市街地の中にあることです。周辺は住宅街であり、戸建て住宅と集合住宅に囲まれています。周回園路や遊具も設置され、家族連れなどの利用者が多く、周辺の憩いの場になっています。周辺は広場と疎林ですが、環濠の水面と墳丘部の樹林は、利用と景観形成双方に貢献しています。(写真3)
また、周辺道路との境に障害物のないところも緊急時、特に震災による火災時の避難地として優れたものがあります。(写真4)事実、今城塚古墳には1596年の慶長伏見地震による古墳の地滑りの跡と考えられる痕跡も発見されており、地震防災にも目を向けさせる要素があります。(写真5)
公園に求められる機能や役割は一通りではなく、様々な機能を持つが点在することによって、優れた都市環境を創出するものです。今城塚のような形態の公園があること自体が高槻市の都市ポテンシャルを高めていると言えます。

公園からの健康づくりネット 糸谷正俊

写真1

写真2

写真3

写真4

写真5

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